見て覚えるはもう古い。職人の暗黙知を映像化し、全現場の品質を底上げする
導入企業
ST工業株式会社 様
- 業種: 鉄筋工事業
- 従業員数: 80名
- 事業内容: 建築物・土木構造物の鉄筋工事一式
- 現場状況: 常時5〜6ヶ所の現場が同時稼働
抱えていた課題
現場代理人のK様(34歳)は、業界全体の高齢化と若手不足が進む中、自社の強みである「品質の高さ」をどう維持し、次世代に継承していくかに強い危機感を抱いていました。
- 技術継承の属人化 高度な配筋技術がベテラン依存で、若手の成長に時間がかかっていた。
- 現場ごとの品質のバラつき 職長の経験差で速度や品質に差が出て、基準が徹底されていなかった。
- 若手の質問しづらい環境 ベテランに遠慮して質問できず、誤りや手直しが発生していた。
- 危険作業の伝承不足 安全ノウハウが文章化されず、記憶に依存して伝承できていなかった。
モニまる導入による解決策
「Kさん、ベテランの技って、僕らには“魔法”みたいに見えるんです」。若手の一言に、K様はハッとさせられました。魔法の“タネ明かし”をしなければ、技術は途絶えてしまう。部下の提案を受け、各現場の詰所や工場の休憩所に「モニまる」を導入。「職人技の見える化」プロジェクトを開始しました。
- 熟練技術の映像マニュアル化でベテランの技術や工具の使い方を動画化し、モニまるで視聴できるようにした。
- 全現場での品質基準の共有し標準手順や品質管理を動画で確認、全現場で同じ基準を徹底した。
- 若手のための基礎知識をコンテンツ化し、若手が自分のペースで学習できるようにした。
活用方法
- 「今週の匠の技」コーナー ベテラン職長の技術を解説した動画を週替わりで放映した。
- 新規入場者向けの動画研修 現場ルールや配筋ポイントを動画で示し、説明を短縮して理解度を高めた。
- バーチャルKY(危険予知)活動 事故事例やヒヤリハットを映像で提示し、危険感受性を高めた。
導入効果
- 若手職長の育成期間が30%短縮 映像学習で習得が早まり、育成スピードが向上した。
- 現場間の品質のバラつきが大幅に減少 映像マニュアルで施工を標準化し、品質を安定させた。
- 手直し工事の件数が前年比で25%減少 若手が自己解決でき、ミスと手直しコストが減少した。
- ベテラン職長のモチベーション向上 技術が財産として映像化され、尊敬が高まり指導意欲が向上した。
お客様の声
(現場代理人 K様 34歳)
親方から「技術は盗むもんだ」と教えられて育ったので、正直、動画で技術が伝わるなんて信じていませんでした。むしろ、そんな簡単なものじゃないと。部下に頼んでベテランの山下さんの手元を撮った動画を作ってもらったんです。今まで遠巻きに見ていただけの若手たちが、画面の前に食い入るように集まってきた。その光景を見て、時代が変わったんだと実感しました。俺たちの世代が“根性”で覚えたことを、彼らは“効率”で学んでいく。山下さんも「自分の技が残せるのは嬉しい」と、今では撮影に協力的ですよ。会社の大事な財産を、未来に残せている。今はそう実感しています。

今後の展開
現在は国内の現場のみでの活用ですが、今後は技能実習生など外国人材の教育にも活用していく計画です。作業手順の動画に、彼らの母国語の字幕を追加することで、言語の壁を超えたスムーズな技術継承を実現し、多様な人材が活躍できる職場環境を構築していきたいと考えています。